長らく新しい対決の部屋が開かなかったのは、誰のせいでもない、太陽のせいです。あまりに暑かった夏のせいです。我が家の隣の畑では梨やぶどうがたわわに実って、蝉もにぎやかですが、人間の方はといえば暑い中の通勤と、寝苦しい夜にぐったり。とても二人会どころではありません。だいたいこんな疲れた状態で遊んで「つまらない」などと言われた日にはゲームデザイナーだってたまらないでしょう。
夏には夏の食べ物、例えば冷やし中華とか、があるように、夏にふさわしいゲームというのがあるのかもしれません。風鈴の涼やかな音を聞きながら、団扇を片手に碁や将棋で暑さを忘れるのも一つ。残念ながらダジャレ委員には碁や将棋の素養はないので、冷房の効いた部屋の中、軽めのカードゲームで久しぶりの二人会を開催しました。お題は「アダムとイブ」。四本の木に実った4色のリンゴを取り合いするゲームで特に旧約聖書のアダムとイブの話に関係あるわけではありません。蛇は出てきますが、イブにリンゴを食べろと誘惑する代わりに、自分がリンゴをぺろりと平らげてしまう変なやつです。
ゲームはバルーンカップやタブラ・ラサ、などのように、勝利ポイント源(りんご)に対してカードを配置してポイントを獲得していくタイプ。よくあるシステムではありますが、特徴は手札を出した人が手札の行方を決められない点にあります。手番のプレーヤーは手札(6枚。補充なし)から一枚カードを選んで場に置き、相手のプレーヤーがそのカードをどの木の元に置くかを決めるのです。自分側の木の元に置くこともできますし、逆に手番のプレーヤー側の木の元に置くこともできます。どちらが有利かはそのカードの点数や、色や、獲得したいリンゴの点数によって変わってきます。細かいルールは他サイトでご確認いただければ幸いです。
ダジャレ委員先手で始まったゲーム。手札は色も、数字もばらけています。最初は分からないので3あたりのカードを出して相手の出方をうかがうことにしました。すると美化委員はそのカードを私の側に押し付けてきました。そりゃそうよね。自分の手札にある自分の側に置きたい高い点数のカードをなんとか自分の物にするためには一苦労しそうです。こんなゲーム、あったなあ、なんだっけなあ、と後日美化委員に聞きました。
ダジャレ委員:「ほら、使いたいカードがあってもさあ、相手が拒否してくれないと使えないゲーム、割とコンポーネントがきれいなやつ、なんだったかなあ」
美化委員:(ダジャレ委員の幼稚な説明にあきれ顔)「フェアプレーだよ。」
そうだ、フェアプレーに感覚がとっても似ています。かくしてアダムとイブは私の中では「バルーンカップとフェアプレーを足して2で割ったゲーム」ということになってしまったのですが、これが正しいかどうか。
さて本筋に戻りまして、ゲームの方ですが、最初の2ラウンドで早くも美化委員が6のリンゴを4色揃えボーナスを獲得。たいして私の方は蛇のおかげでリンゴの数も少なく、ボーナスの見込みすらありません。「もーこれ以上プレーしても意味ないわ」と腐りかかったところで、それでもじっと辛抱して続けているうちに、なんとか互角に。小さい点数のリンゴを全色集めたボーナスがきいて、最後は勝利できました。
出た札のカウンティングをしてもあまり意味はなく、戦略性は薄いといえるでしょう。相手の出してきた一枚の手札と自分の手札という少ない情報を基に、相手の行動から何らかの意味を読み取って、自分に有利と思われる行動を取る。特にキツいわけでもなく、運だけ、というわけでもなく、手放しで面白いと言える訳でもなく、かといってつまらないというわけではなく・・・。なんといったらよいのやら、全体としてとっても漠然とした印象のゲームです。でも夏の暑い盛りにちょっと気晴らしをするのにはふさわしいゲームでした。
(ダジャレ委員)
【美化委員謹言】
カードを相手に押し付けるゲームというのがひとひねりあって、あとはシンプルなゲームになっている。最近気がついたのだが、相手に押し付けて決めてもらうというのは、意外に好みである。「どうだっ、やれるのか」という相手を試す感覚と、「渡すから決めてくれ」という無責任な感覚が性に合っているのかな。